CEO が最重要視する 6 つの優先事項
最高経営責任者 (CEO) が最重要視しているものは何でしょうか。大手コンサルティング企業が CEO を対象に最近実施した、いくつかの調査を紐解いてその答えを探りました。本稿ではその結果をご紹介します。
最高経営責任者 (CEO) が最重要視しているものは何でしょうか。大手コンサルティング企業が CEO を対象に最近実施した、いくつかの調査を紐解いてその答えを探りました。本稿ではその結果をご紹介します。
最高経営責任者 (CEO) が最重要視しているものは何でしょうか。これはあらゆる企業のビジネスリーダーにとって極めて重要な問いです。大手コンサルティング企業が CEO を対象に最近実施した、いくつかの調査を紐解いてその答えを探りました。
明らかになったのは 6 つの優先事項であり、いずれも対処するには全社的な協力が必要になります。CEO がその補佐役たち (CFO、CHRO、CIO、その他重要な意思決定に携わるエグゼクティブ) に、これらの優先事項を理解しそれに基づいて行動することを求めているのはそのためです。
重要なことはここに挙げるものにとどまりませんが、CEO にとって重要度の高い領域として、ここに上位 6 つの優先事項をご紹介します。
ほとんどの CEO にとって、成長は最優先事項です。『KPMG グローバル CEO 調査』によると、調査対象となった CEO の大半が、コストの効率化よりも成長を重視すると回答しました。
『IBM グローバル経営層スタディ』が明らかにしたところでは、成功を収めている企業の CEO は成長を強く意識していました。これには、新製品や新サービスの発売、新たなビジネス モデルの発見、より緊密な顧客関係の構築、長期戦略としてのイノベーションの追求、活動地域の拡大、より奥行きのあるエコシステムの創出といったことが含まれます。たとえば KPMG 社によると、CEO の 3 分の 2 は、国際事業が今後 3 年間でより多くの収益をもたらすようになると予想しています。
従来の成長戦略が依然として主流であるとはいえ、無機的成長戦略は増加傾向にあり、今後も M&A が活発化することが調査からわかります。KPMG 社によると、調査対象となった CEO の半数近くが、今後 3 年間に少なくとも 1 件の買収を行うと見込んでいます。一方、IBM 社の調査では、CEO の 3 分の 2 が「まったく新しい、従来とは異なる成長の形」に注目していると報告しています。
多くの場合、何も手を打たないことによるリスクは、変化に伴うリスクよりも大きくなります。
CEO は、現状維持にとどまることの危険を認識しています。成長を遂げるためには、より積極的にリスクを引き受ける必要があると考えています。KPMG 社によると、実際には 3 人に 1 人の CEO が、自分たちの成長戦略に関して十分なリスクを取っていないと考えています。
新規参入企業と既存の競合企業の両方からの競争上の脅威にさらされ、CEO たちは新しい製品分野やサービス提供地域へすばやく参入する方法を見つける、といったようなリスクに対するより積極的な姿勢を求められています。多くの場合、何も手を打たないことによるリスクは、変化に伴うリスクよりも大きくなります。
法人税率、環境規制、財務報告などの規制の変更を管理することは、CEO にとっての大きな懸念であり、重要な優先事項となっています。KPMG 社の調査によると、CEO にとって規制に関する懸念は、世界経済の成長に次いで 2 番目に重要な項目として位置づけられています。
PwC 社による『19thAnnual Global CEO Survey (第 19 回世界 CEO 意識調査)』では、回答した CEO の 79% が過剰な規制を最大の懸念事項として挙げています。IBM 社の調査では、CEO が関心を抱いている外部要因として、規制に関する懸念を第 3 位に挙げています。そして、この状況が改善に向かう様子はありません。PwC 社の報告によると、企業は将来的にグローバルな規制制度および要件がさらに多様化すると予測しています。
企業に最も大きな影響を与えるものとして、モバイル、ソーシャル、クラウドといったテクノロジーが挙げられています。
業種やセグメントに関係なく、CEO がテクノロジーを重要な差別化要因として挙げていることが IBM 社の調査で報告されています。企業に最も大きな影響を与えるものとして、モバイル、ソーシャル、クラウドといったテクノロジーが挙げられています。KPMG 社の調査では、CEO は自社が直面する問題の中で 3 番目に重要なものとして、破壊的技術を挙げています。また、それが新たな機会となると同時に、競合他社がもたらす破壊的技術が既存のビジネス モデルを変えてしまうことも懸念しています。
PwC 社が調査した CEO の 3 分の 2 以上が、データと分析は、より広範に導入する必要があるテクノロジーであり、最も大きな利益をもたらすと考えています。一方で、CEO たちはデータを最大限に活用してビジネスの成果を促進する方法をまだ十分には理解しておらず、彼らのチームが情報を活用してより適切な意思決定を行うことを目指していると述べています。
PwC 社は、「イノベーション競争の勝者はテクノロジーを活用し、イノベーションを生み出し、コスト効率が高く、便利で機能的かつ持続可能な製品やサービスを提供する企業である」としています。テクノロジーは、新たな市場に参入し、市場や顧客の情報を取得し、人財をより効果的に活用する手段となるため、CEO たちは成長の機会を見出すために、コスト削減よりもテクノロジーに大きな注目を寄せています。
首席执行官たちは,特に新規参入企業がすぐに台頭し,既存のビジネスモデルに挑戦するような環境の中では,自社内の変革的なイノベーションに最優先で取り組まなければならないと回答しています。
IBM 社の調査では、市場のリーダーである CEO たちの 58% が、徐々に改善を行うだけではなく、破壊的イノベーションも追求していることが明らかとなりました。その調査では、「パイオニアとなる企業は、既存の製品やサービスに手を加えるだけではなく、企業の再編成にも取り組んでいる」とされています。また、このような CEO はアジリティと試行錯誤の価値を認め、成功に失敗はつきものだと捉え、失敗を恐れずにいます。
近頃では、変革を企業の複数の箇所で同時に起こす必要があり、組織のアジリティ、変化に対する積極的な姿勢、イノベーションの受け入れといったことがコア コンピテンシーとして求められると考えられるようになってきました。CEO たちは、イノベーションとはビジネスを部分的に「修正」するための短期的な方法ではなく、長期的な戦略であると捉えています。
適切な人財を企業に惹きつけるためには、企業文化も重要であると CEO たちは認識しています。
CEO は優先事項として、適切な人財の採用を挙げています。KPMG 社の調査では、78% の CEO が今後 3 年間でヘッドカウントの増加を考えていると答えています。しかし、適切なスキルを持つ人財を見つけることや、新たな能力開発のために既存のチームの再教育が必要になることなどに不安も感じています。
さらに、適切な人財を企業に惹きつけるためには、企業文化も重要であると CEO たちは認識しています。KPMG 社の調査では、「社員が共有できる目標を掲げ、習得するスキルと成長の機会を提供し、インクルージョンを重視する企業文化を構築することは、優れた人財を惹きつけ、維持するために不可欠であり、それがイノベーションのイニシアチブを推進し、ひいては企業の成長を後押しすることになる」と述べられています。
企業文化は収益にも影響を与えると考えられます。サプライヤや顧客は、より広い社会的背景の中で企業がどのように振る舞っているかを注視しており、機能性やコストといった従来の指標よりも幅広い基準に基づいてビジネス上の意思決定を行うようになっていると KPMG 社は報告しています。
成長、リスク、規制の管理、テクノロジー、イノベーション、人財と企業文化という 6 つの重要領域に焦点が当てられていますが、これはすなわち企業全体にわたる幅広いチームに影響があるということになります。経営幹部とその直属のスタッフは、企業内の弱点と強みを検証し、改善のための機会を見極めたうえで必要な措置を講じ、CEO がこれら重要な優先事項を実行できるよう支援することが求められています。
今後の記事では、これらの課題への取り組みを支援するうえで CFO、CHRO、CIO が果たす役割について深く掘り下げていきます。
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