かつて CIO や IT 部門は、社員の業務効率化やビジネス プロセスの自動化を推進するためのテクノロジーを購入して、導入することを主な業務としていました。その関心は専ら社内に向けられ、往々にして、ビジネスを推進する方法を探ることよりも、システムの稼働状態を維持することに重点が置かれていました。

企業内でデジタル トランスフォーメーションの取り組みが進む中、それが変わりつつあります。CIO はより深くビジネスに関与し、テクノロジーを通じてビジネスを推進する方法を探ることが求められています。また CIO は積極的にデジタル トランスフォーメーションをサポートし、社員、顧客、パートナーが適切なツールと情報を利用して、企業が新たなデジタル収益源を開拓するための支援を行う必要もあります。この変革は、デジタルによって可能になるまったく新しいビジネス モデルや、新しい種類の製品やサービスを創出しています。今日の経済状況の中で長期にわたって持続的に成功を収めていくために、CIO の創造的でイノベーティブなスキルがこれまで以上に重要視され、必要とされています。

CIO の役割は根本的に変化しました。テクノロジーを活用して企業のビジネス優位性を創り出していくことが、現在の CIO の役割となっています。この説明はいささか大まかではありますが、CIO が企業の成功にどのように貢献するか、ということについてのより現状に近い考え方を表していると言えます。日常の IT 業務の管理を行う一方で、CIO は企業の影響力を拡大していくためのデジタル戦略を描き出していく役割も担います。

そのためには、テクノロジーについてだけではなく、テクノロジーを活用して全般的なビジネス目標をどのようにサポートしていくかについての革新的な発想を持つ必要があります。テクノロジーは、意思決定を行うために必要なデータと人を結びつける役割を果たします。また、企業のビジネス モデルや収益ドライバーの基盤にもなりつつあります。テクノロジーがあってこそ、Uber 社や Airbnb 社のような企業が存在できるのです。

私たちは、エグゼクティブが何を目標とし、企業の成長を促すために何を行っているかについての現状を知るために調査を行いました。いまやテクノロジーはあらゆるビジネスに広く浸透しています。そのため、最高経営責任者 (CEO) とそのエグゼクティブ チームは、データ、ソフトウェア、デバイス、新しいテクノロジーによるデリバリー チャネルを利用して、業務やビジネス チャンスの新たな局面を切り開くために、CIO による一層の協力を必要としています。以下に、CIO が注力すべき 5 つの分野を紹介します。

イノベーション:CIO は常に最新のテクノロジーの動向を把握し、後れをとらないためにどうすればよいかを知っておく必要があります。企業戦略に貢献するためには、これが重要な要素となります。ただし、単に最新の動向を追いかけるだけではありません。CIO は、コスト削減と生産性の向上を実現するために、適切なアーキテクチャとデリバリー プラットフォームを適用する必要があります。

CIO はまた、企業のデジタル トランスフォーメーションにも関与します。イノベーションが継続的に行う必要のあるビジネス戦略であり、その破壊的イノベーションを生み出すのは自社のワークフォースである、ということを多くの企業が認識するようになってきました。CIO は、ツールとテクノロジーを組織全体に提供することによって、ワークフォースの創造性を引き出すように努める必要があります。

分析:テクノロジーを通じて取得されるデータは圧倒的な量と種類になります。データを意義あるものに変えるのも CIO の役割です。何が必要で、どのように提供すべきかを決定し、その使い方の計画を策定することによって、経営陣がそこから極めて重要な情報を見つけ出し、より優れた意思決定につなげるための支援を行います。CIO は、この非常に有用な情報を企業全体のユーザーが利用して実際の行動へとつなげるための手助けをします。

アーキテクチャ基盤: CIO は、企業の成長の基礎となるテクノロジーとシステムの基盤を構築する役割を担います。ソリューションやツールを導入することで、企業内のあらゆるチームがより適切に業務を行えるようになります。財務部門はコスト管理と経費管理の手段を必要としており、人事部門は社員を効果的に管理するための革新的なソリューションを求め、営業部門はより正確な予測を行えるツールを望んでいます。CIO が何を行い、何を導入するかによって、最終的に企業がどのような成功を収めることになるかが決まりますが、それは成功を後押しするための適切なテクノロジー環境を構築できるかどうかにかかっています。

大規模なテクノロジーの変革が進む中、CIO はスケーラビリティとアジリティを実現する IT アーキテクチャを構築する必要があります。未来は誰にも予測できませんが、適切なアーキテクチャを選定することで、企業は未来に確実に備えることができます。CIO は、クラウドベースのインフラや、柔軟で成長の助けとなるその他のプラットフォームなどを利用してこれを実現しています。

セキュリティ:デジタル化が広がることには、より多くのデータに、より多くのユーザーが、より多くの方法でアクセスできてしまうリスクが伴います。これは、デジタル分野で成長するうえでは避けられないことです。CIO は、顧客、ユーザー、パートナー、そして自社に関わるデータの安全性を確保しなければなりません。ソリューションのあらゆるレベルでセキュリティが確保されていなければ、大きなリスクにさらされることになり、企業とそのステークホルダーに損害が及びかねません。

CIO の特殊な立ち位置: CIO は、ビジネスに関する知識とテクノロジーに関する深い専門知識を併せ持つことで、企業の革新的な成長戦略を策定するという機会を与えられています。CIO が採用するテクノロジーは、優位性をもたらすと同時に、ユーザーのニーズを満たすものである必要もあります。これらの重要な領域に重点的に取り組むことで、CIO は企業全体、ひいては企業のエコシステム全域のステークホルダーに影響を与えることになるのです。

今後のブログ記事では、これらの領域のいくつかについてより深く掘り下げ、企業がその成長の機会を見出し、それを持続させていくために CIO がどのように支援できるかについて見ていきます。

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