エンタープライズ プランニングにおいて真のコラボレーションが重要である理由

財務担当者の役割は、事務的なものからより分析的なものへとシフトしています。それに伴い、社内の他のユーザーとの効果的なコラボレーションを通じて、財務やワークフォースのプランニングを実施することが求められています。これを実現するためには何が必要か、Barbara Larson が提言します。

最近、「最も意義のあるコラボレーションが実現したとき、一人ひとりが生み出せるものを遥かに超える相乗効果が生まれる」という言葉を目にしました。エンタープライズ プランニングについて考えるとき、この言葉はぴったりと当てはまります。

私は 20 年以上にわたり企業財務に携わってきましたが、組織運営のあり方はビジネス環境の変化に伴い大きく変化しました。その影響を受け、財務チームの役割も事務作業からより分析を重視したものへと移行しています。このような変化を受け、企業の財務チームは大きなプレッシャーを抱えています。より効果的な方法で関係者と連携して財務プランやワークフォース プランを作成し、企業の成長を促し、ただ変化に対応するのではなく、変化をチャンスに変える手助けをする役割を求められるようになったためです。

一般に、財務チームは多くの時間をデータ収集とレポート作成に費やしており、全社的に連携してビジネスの現況を把握しようとはしていません。

KPMG 社と Association of Chartered Certified Accountants が共同で発行した2015 年のレポート『Planning, Budgeting and Forecasting: An eye on the future)』によると、財務担当者の 4 分の 3 以上はプランニング、予算編成、予測において、他部門とのコラボレーションが不可欠だと回答しています。ビジネスのあらゆるパーツがつながっている状況を考えれば、納得できる結果です。

しかし、効果的なコラボレーションを実践するのは口で言うほど簡単なことではありません。一般に、財務チームは多くの時間を手作業によるデータ収集とレポート作成に費やしており、全社的に連携してビジネスの現況や市場およびビジネスのニーズが財務に与える影響を把握しようとはしていません。この最大の原因は、多くの財務チームが複数の分散したシステムを使用していて、使用しているプランニング システムが総勘定元帳から切り離されていることにあります。そのため、コスト センター、法人、従業員情報といったメタデータ構造を別のシステムに手動で複製したり、あるいは複雑な統合作業を実施してデータの正確性を確保する必要性が生じたりします。これらすべての作業が完了した頃にはデータはすでに過去のものとなっており、ビジネスの進化に合わせて連携しながら継続的にプランニングを実施することは困難になります。このようなアプローチは非効果的で、サイロ (情報の連携が取れていない状態) が生じるばかりか、プランニング プロセスにおいてセキュリティ上のリスクをもたらします。

幸いなことにテクノロジーとプランニング システムが進化し、このような障害を取り払って真のコラボレーションを実現することが可能になりました。コラボレーションに基づく効果的で継続的なプランニングを実現できるよう、財務チームの皆さんに 3 つの取り組みを提案します。

俯瞰的に考える

真のコラボレーションは、正しいマインドセットで臨むことから始まります。まずは、ビジネスニーズと、それに対するプランニングや予測のより戦術的な要素について質問しながら対話を始めます。たとえば、私はよく、プランニングの議論から財務的な要素をどうやって引き出すか考えます。つまり、「何名のヘッドカウントを確保しますか?」とか「今四半期はどれくらいの支出を予定していますか?」のような質問だけでなく、さらに踏み込んだ質問でビジネスの目標や目的、それを財務がどのようにサポートできるかを聞き出すようにしています。こうすることで、財務プランニングの目標とワークフォース プランニングの目標に整合性が生まれます。

もはや財務チームはデータの唯一の保管人ではありません。プランニング プロセスに関わるすべての人がデータを理解する必要があります。

共通の認識を持つ

財務チームが真のコラボレーション関係を築くためには、すべての関係者が共通の認識を持つ必要があります。複数のシステムやスプレッドシートにデータが分散していると、手作業による計算やデータの整合性確保に多くの時間が費やされることになります。唯一の正しい情報源があれば、つまり、プランニング、予測、そして財務およびワークフォースに関するリアルタイムのトランザクション データがすべて 1 つのシステム上にあれば、財務チームの管理負担は大幅に軽減され、数値に対する信頼性が高まり、有意義な議論が生まれます。また、プランニングと予測にビジネスの実態が正確に反映されることで、変化に対応することが容易になり、継続的なプランニング プロセスを実現できます。

ビジネス パートナーに発言権を与える

もはや財務チームはデータの唯一の保管人ではありません。プランニング プロセスに関わるすべての人がデータを理解する必要があります。そうすることで、ガバナンスと統制を厳格に行いながらも、プランニング プロセスでより多くの情報を活用し、ビジネスのニーズや方向性を反映させることができます。

変化の激しい今日の環境の中で高まる要求に応えるため、ビジネスニーズは変化しています。同様に、成功している企業のエンタープライズ プランニングに対するニーズも変化しています。将来を見据えた強固な基盤を構築するために、組織は一体感、コラボレーション、継続性を高めながら機能する必要があります。テクノロジーがそれを牽引し、企業のプランニングとビジネスニーズの予測を向上させます。私たちの取り組みは始まったばかりです。これからも随時、私の経験をお伝えできればと考えております。

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