自社のビロンギングとダイバーシティのイニシアチブを推進する
この 1 年半もの間、ビジネスリーダーは会社全体のビロンギングとダイバーシティをますます重要視するようになってきています。今回ご紹介する対話の相手は、Accenture 社のマネージング ディレクターを務める Nicole Knott 氏です。イギリスに拠点を置く HR エキスパートである彼女は、モメンタムを維持することの重要性について語ります。
この 1 年半もの間、ビジネスリーダーは会社全体のビロンギングとダイバーシティをますます重要視するようになってきています。今回ご紹介する対話の相手は、Accenture 社のマネージング ディレクターを務める Nicole Knott 氏です。イギリスに拠点を置く HR エキスパートである彼女は、モメンタムを維持することの重要性について語ります。
この 1 年間、さまざまな社会的要因の影響を受けた世界中のビジネスリーダーが、組織を改善することへのコミットメントを強化する中、ビロンギングとダイバーシティが急速に注目を集めてきています。Accenture 社のマネージング ディレクターである Nicole Knott 氏と Workday のシニア プロダクト マーケティング マネージャである Daniela Porr が、ビロンギングとダイバーシティへの道筋についてディスカッションを行いました。また、公平さとインクルージョンの取り組みを開始した組織に向け、アドバイスを提供します。
以下は Knott 氏の話の要点です。
この 1 年間に起こったすべての出来事を考慮した場合、ビロンギング、ダイバーシティ、インクルージョン (BD&I) の状況についてどのように考えていますか?
George Floyd 氏の悲劇的な死からすでに 1 年以上が経過したとはとても信じられません。この事件によって、人種や民族の問題が大きくクローズアップされたとともに、これまでの職場では聞かれなかった会話がなされるようになりました。その後、多くの企業が職場の公平さを後押しするため、なんらかの大きなコミットメントを行いました。
このモメンタムを作り続けていくことが重要です。職場とコミュニティの両方で人々が変革を求めているからです。このモメンタムを活かし、変革を強力に推進する必要があります。つまり、これはダイバーシティのさまざまな要素を考慮した上で、すべての社員のための適切なサポートの準備に注力するということです。ダイバーシティの議論を構成する要素としては、性別、宗教、性的指向、性自認、社会経済的バックグラウンドなどがあります。
Accenture 社の BD&I の取り組みについて、また、それがどのように進化したのかを教えてください。
1995 年ごろスタートした長い取り組みであり、今日までの間、Accenture にとっての真の優先事項になっています。独立したコンセプトから始まり、やがて企業文化の全体的認識にまで発展しました。つまり、企業文化の創造者であるというコンセプトを理解し、インクルーシブな企業文化を創造することを、組織にとっての優先事項にするということです。もちろんこの取り組みは今後も世界中の出来事や社員のニーズに基づいて進化し続けるわけですが、私はこれまで成し遂げられてきたことについて大変誇りを持っています。この取り組みはまさしく人事部門の優先事項から組織の規範へと変化しました。このことは私たちが大きく前進したことを如実に示しています。
企業が取り組みをまだ開始したばかりの場合、BD&I の価値を社内や主なステークホルダーに伝えるにはどうすればいいのでしょうか?
これまで述べた世界中の出来事を踏まえると、多くの人がいまだにビジネスの価値にとらわれているのに、よりインクルーシブで公平なアプローチの価値について発言できているのはおかしなことのようにみえます。多くの人がこの課題を重要視すべきだと考えていますが、アイデアをアクションに移すにはやはり後押しが必要です。
Accenture の調査『Who We Are Is How We Grow』によると、インクルーシブな職場環境を構築するための目標が設定されていない理由を尋ねたところ、42% のリーダーが、すべての組織リーダーがインクルーシブを重視しているわけではないことを挙げました。また、その 40% が、これらの目標をビジネス上の優先事項にリンクさせるのが困難であると答えています。しかし、ホワイトペーパー『Hacking Diversity With Inclusive Decision Making』によると、多様性のある組織は多様性のない組織よりも意思決定を 60% 速く行うことができます。
BD&I は時代の流れです。今日、組織の人財流出に大きな関心が集まっています。これまで長い間、人々は自身の職務を変えることはありませんでした。しかし、市場がオープンになるにつれて、ますます多くの人が職務の変更を検討するようになっています。パンデミック後に転職することを考えている人は、全体の約 25% にのぼります。
「これらはすべて、組織に関する重要な『真実の瞬間』です。組織は社員やコミュニティに対し、タイムリーに支援を行いましたか?」
Nicole Knott 氏マネージング ディレクターAccenture 社
BD&I イニシアチブの影響を測定することは、非常に難しいと思います。このことについて組織はどのように考えるべきですか?
それが最もよくある質問です。「何をどのように測定すればいいのか」という問いです。それに対する私の答えは、企業が成長率と投資収益率を上げながらリスクを軽減するために注力すべきことは数多くあるということです。ダイバーシティとインクルージョンの観点から見ると、ワークフォース、顧客、コミュニティ、サプライチェーンを含むエコシステム全体を考える必要があります。
自身が扱っている製品はどこから来ているのか、ビジネスを行っている相手は誰なのか、顧客に製品を提供するため、どのような組織とパートナーを組んでいるのかを把握していますか?顧客について考えた場合、扱っている製品はすべての顧客を本当にカバーしているでしょうか?そして最後に、コロナ禍で、最近ではインドの同僚をサポートするためにコミュニティが歩みを進めるのを目にしてきました。同じ目標に向かって働く、多くの人の力が本当に役立っています。
エコシステム全体でダイバーシティとインクルージョンの影響が理解されれば、影響を与える機会が増えます。これこそが、将来に向かって働いている組織内で、社員が求めていることです。
最近の Web セミナーの中で、コロナ禍の「人事部門にとっての重要な瞬間」についてお話しされていました。この考えがどのようなものか、また社員に価値を提供する際の人事部門の役割について教えてください。
「重要な瞬間」というコンセプトはいまだ健在です。しかし、私の関心はこれよりも「真実の瞬間」の方に移ってきています。特に昨年はそうでした。つまり、あなたが本当に助けを必要としていた時、組織は支援してくれたか?夫が失業して大変な状況になるから、給与の前借りをすることができたか?あるいは大切な人を失った時、追加の忌引休暇をとることができたか?病気になった時、必要なものを手に入れることができたか?ということです。
これらはすべて、組織に関する重要な「真実の瞬間」です。組織は社員やコミュニティに対し、タイムリーに支援してくれたでしょうか?個人にとって適切なことを行うため、平常時のビジネス ルールを曲げる必要が生じたことで、この「真実の瞬間」の重要度が増したと思います。
BD&I の実現に関し、ビジネスリーダーが注力できる 5 つの分野について話されていますが、それらの分野について説明してもらえますか?
1つ目は,ビジネスケースをしっかりと定義し伝達することによって、社内と社外両方の人すべてが理解し、そのコミットメントを誇りに思えるようにすることです。2 つ目は、ダイバーシティとインクルージョンを他の主なイニシアチブと同様に扱うということです。3 つ目は、取締役会やステアリング コミッティ、エグゼクティブ チームが、他の戦略的優先事項の場合と同様に BD&I を擁護するようになることです。この 3 つ目は、リーダーシップが目に見える形で BD&I にコミットすることを達成および明示することなので、最後の 5 つ目と連携する部分が多くなります。4 つ目は、企業が BD&I をコア バリューに設定することです。
これは強力な意思表示となります。コア バリューについて言えば、組織は通常 3 つか 4 つのコア バリューを設定することになります。ダイバーシティとインクルージョンが上位 3 つか 4 つのコア バリューとして採用されると、大きく果敢な意思表示をしていると言えます。最後に重要なのは、進捗を追跡するための指標を設定するだけでなく、変更が必要なケースの提示を支援することです。
さらに読む
人事部のあるべき姿とは「経営目標を実現させるため、自社人財の能力を最大限に活用する戦略を立てて実行できている状態」です。実際に、成功している企業の人事部はそういった限定的な考えから脱却し、会社全体の経営戦略に基づいて人財を育成したり、パフォーマンスを向上させるための施策に取り組んだりしています。最後までお読みいただけると、人事部のあるべき姿を理解した上で、今求められている役割から実際の業務内容までを知ることができます。
従業員エンゲージメントとは、「従業員が企業に貢献しようとする自発的な意欲」のことです。従業員は人財であり、企業の成長に欠かせないとする考えが世界のスタンダードです。目まぐるしく変わる社会情勢の中で生き残るためには、従業員エンゲージメントを軽視することはできません。最後までお読みいただくと、「どうすれば優秀な人財を定着させられるのか」「どうすれば意欲的に業務に取り組む従業員を増やせるのか」という悩みの答えが見つかるはずです。
「静かな退職」とは、社員の意欲低下というこれまでにも見られた現象に付けられた新しい名前です。静かな退職が企業に与える影響と、社員エンゲージメントを重視することが解決策となる理由をご確認ください。